[バレーボールデータ分析]VNL2023 日本vs中国戦

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  前の記事「中国vsブラジル戦」分析で想定した通り厳しい戦いになりましたね。日本は初の黒星を喫しました。VNL2023は今週男子大会が開催され、女子大会は14日(水)から再開です。

  ところで中国戦敗戦後に古賀キャプテンのインタビューが放送されましたが、少し重苦しい雰囲気でした。そもそも、敗戦後に選手にインタビューする必要があるのでしょうか?必要があるとしたら、その理由は何でしょうか?おそらく、インタビューは監督だけに留めるのが賢明でしょう。

  では、試合を振り返ります。

チーム別パフォーマンス比較

  今回からチーム全体のパフォーマンスを概観することから始めたいと思います。上のチャートがチーム全体の得点力比較、下のチャートが守備力比較です。

  まず得点力比較ですが、横軸がチーム全体としてのアタック効果率です。本来は選手ごとに計算される指標ですが、ここではチーム全員の数値合計で計算しています。定義式は、

  アタック効果率(Attack Efficiency)                                 
  = (アタック得点 – アタック失点)/(総アタック数) [%] ・・・①

です。ここではチームの「アタック得点」「アタック失点」「総アタック数」全てチーム全員の合計値を使って計算しています。いわば、チームの平均値のような指標になります。縦軸は「総アタック数(Attack Total)」です。ここではチーム全員の合計値(Attack Total_sum)を使用しています。そしてバブルサイズはアタック、ブロック、サーブの総得点になります。ここではチームの総得点です。

  ちなみにバレーボールにおいて、アタックが最大の得点源で、この試合でも両チームともに80%程度をアタックで得点しています。横軸:アタック効果率と縦軸:総アタックを掛け算しますと上の定義式①のとおり「アタック得点 – アタック失点」が計算できます。つまり、ザックリ言うとバブルが右に行くほど、また上に行くほどバブルが大きくなります。

  さらにかみ砕いて言いますと、バブルが右に行くほどアタッカーのスキル(ここではチームのアタッカーの平均的スキル)が高いことを意味し、バブルが上に行くほどアタッカーに供給されるトスが多いことを意味するわけです。

  前置きが長くなりましたが、今回の日本と中国を比較しますと、アタック打数はほぼ同数ですが、アタック効果率で、中国が日本を大きく上回っています。バブルにマウスを当てていただきますと詳細なデータが表示されますが中国が34.6%、日本が28.0%という結果でした。

  次に守備力の比較です。下のチャートにおいて、横軸がレセプション効果率で、ここでは上と同様チームの総合値になりますが、定義は、

  レセプション効果率(Reception Efficiency)                                 
  = (レセプション成功数 – レセプション失点数)/(総レセプション数) [%] ・・・②

一方、縦軸がディグ効果率で、ここでは同様にチームの総合値になりますが、定義は、

  ディグ効果率(Dig Efficiency)                                 
  = (ディグ成功数 – ディグ失点数)/(総ディグ数) [%] ・・・③

です。また、バブルの大きさはレセプションとディグ成功数の合計です。ここではチームの総数になります。

  下のチャートから読み取れることは、レセプションではほぼ同等ながら、ディグで中国が大幅に優位に立っています。おそらく、日本のアタックの多くが中国選手に拾われ(ディグられ)た結果、日本のアタック効果率が低く抑え込まれたと考えることができるでしょう。

  その他にもブロックの影響も考える必要があります。今回用意したチャートではブロックの状況は読めませんが、今回の日中戦におけるブロック得点は日本が5点、中国が9点です。

  今のところ感覚でしかモノが言えませんが、日本のアタッカーはまともに「打ち落とし」過ぎてないでしょうか?結果として、まともにブロックを食らってる印象があります。2010~2012年ころ、日本女子は世界ランク3位という強豪だったわけですが、現在の日本女子に比べ、変則的でトリッキーなアタックを多用していた記憶があります。その象徴が「ミラクルさおりん」だったわけですから(笑)。

選手別パフォーマンス比較

  次に選手別パフォーマンスを見ていきます。まずは、日本選手の得点力の状況です。

  今回は井上選手が不調だったようで、古賀キャプテン(表記:Nishida Sarina)にトスが集まり、孤軍奮闘の状況でした。この状況が続けば彼女のケガや体力面が懸念されます。井上選手の復調や林選手へのトス分散、それから、フェイントやブロックアウト狙いのような攻撃を織り交ぜ、アタック効果率を上げ、結果として打数を減らしながら(体力消費をミニマムにしながら)得点力を強化するような施策が必要かと思います。

  次に日本選手の守備面です。バブルチャートの弱点ですがバブルが重なり合って読みづらい状態です。今回からこの問題に対応すべく、バブルチャートを単純な画像データから、インタラクティブに動作するHTMLデータに変更しました。その結果、バブルにマウスを合わせると詳細データが表示されたり、いろいろ機能が備わっていますので、いろいろ試してみて下さい。

  バブルチャートの重なりについては、例えば西村選手のバブルの陰に林選手のバブルが隠れてしまっているのですが、凡例の「29_Nishimura Minami」をクリックしてみてください。すると西村選手のバブルが消え、林選手のバブルを見ることができます。

  少し話が逸れましたが、チャートを見ると西村選手、林選手を除き、レセプションが非常に厳しい状況です。上でチーム全体としては中国と大きな違いはないとしましたが、選手別に見ると厳しいですね。

  次に中国選手の得点力の状況です。日本が古賀選手頼みなら、中国の12番のリ・エイエイ選手が圧倒的な存在感を示していますね。ブラジル戦でも大エースぶりを発揮しています。ルックス的にも優しいお姉さん風で良いですね。12番と言うと日本のレジェンド木村沙織さんも長く付けていた背番号の印象がありますし、どことなく似た雰囲気を感じます。

  最後に中国選手の守備面です。リ・エイエイ選手はレセプションにも参加してるんですね。VNL2023で日本が中国と再戦するかどうか分かりませんが、徹底的に強いサーブで彼女を狙って攻略してほしいものです。

  それでは、股、男子チームの分析やら、今回触れなかったブロック・サーブに光を当てた分析やら、続けてゆきたいと思っています。

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