少し前の番組ですが、ネット上でも大きな話題になったみたいですね。
噛み合わない大激論:なぜ「論破ごっこ」から脱却・成長できないのか?
個人的には生産的でも建設的でもないこの両者の議論にがっかりしてます。私のような視聴者は少なくないのではないでしょうか。そろそろ、論破ごっこはオワコンにして欲しいです。
問題の番組内容をざっくりサマると下記のようなものです。
1.発端
・成田氏の日本経済への楽観的なが波紋を呼ぶ。
・日本経済への危機感を持つ人々から批判的な返信が殺到する。
・なかでも経済アナリスト池戸氏から強い批判リプライが投稿され、
本番組の発端となる。
2.番組内容
(1)池戸氏は国別の「経済成長率」と「政府支出伸び率」データにより相関の
高さを示しながら、「政府支出の積極化」で日本の経済成長の停滞が打開
できるはず、と主張。また、(解決策があるにも関わらず)これまで日本の
経済停滞を打開してこなかった過去~現在の政権及びブレーン(経済学者)
の怠慢を批判。
(2)成田氏は、「経済成長率」と「政府支出伸び率」の相関の高さは因果関係を
証明するものではなく、政権やブレーンを批判する根拠として弱い。
また知識を持たない一般人に根拠薄弱な自説を信じ込ませるような言動には
問題がある、と批判。
(3)番組進行の平石氏は成田氏に「成田さんは日本の経済停滞の原因について
どのように考えているのか?」と質問。成田氏は「よくわからない」と回答。
健全な議論と論破ごっこのギャップ:ぺこぱを見習え!
成田氏の「日本の経済停滞の原因については『よくわからない』」発言で多くの視聴者がため息をつき、中には苛立ちを覚えた方もいらっしゃると思います。半面、成田氏から「よくわからない」という言葉を引き出した平石氏には共感や公平性を感じた人も多いかと思います。
あるいは平石氏は、池戸氏の論が一方的に論破される展開への視聴者の違和感を感じ取ったのかも知れません。何故なら、知りたいのは「日本の経済停滞の打開策」なのであって、「池戸氏案のダメさ加減」ではないのですから。「池戸氏案がダメだった」ことが分かったところで何も得るものは無いじゃないですか(笑)。
Abemaは、いわゆる「マスメディア」よりはるかにマシと思い、よく見ているのですがやはりエンタメの域を出ていませんね。今はやりの「論破ごっこ」が番組の骨格になってしまっています。私を含め、多くの視聴者もそろそろ論破ごっこに「飽き」が来ているころと思います。
ポスト「論破ごっこ」は単純に「健全な議論」で良いと思います。
繰り返しになりますが、今回の番組は下記の流れでした。
(1)池戸氏は国別の「経済成長率」と「政府支出伸び率」の相関の高さを示しながら、
「政府支出の積極化」で日本の経済成長の停滞が打開できるはず、と主張。
また、(解決策があるにも関わらず)これまで日本の経済成長停滞を解決して
こなかった過去~現在の政権及びブレーンの怠慢を批判。
(2)成田氏は「経済成長率」と「政府支出伸び率」の相関の高さは因果関係を証明する
ものではなく、政権やブレーンを違反する根拠として弱い。
また知識を持たない一般人に根拠薄弱な自説を信じ込ませるような言動には
問題がある、と指摘。
(3)番組進行の平石氏は成田氏に「成田さんは日本の経済成長停滞の原因について
どのように考えているのか?」と質問。成田氏の回答は「よくわからない」。
番組では(2)の部分がかなり長かったのですが、要らないですね。(1)の次は(3)で良いです。平石氏の(3)の質問が早いタイミングで出ていれば、もしかすると実り多い展開になっていたかもしれません。
また成田さんを「わからない」で許してはいけません。あらかじめ準備させるべきでしょう。「よくわからない」までも、仮説くらいは用意できるはずです。仮にも「経済学者」の肩書を持つ成田氏です。池戸氏に「さすが!」と思わせる『有力な』仮説を用意するくらいのことはできるでしょう。
こんな「健全な議論」「実りある議論」なら、池戸さんも成田さんも平石さんも、視聴者も全員ニッコニッコです。日本の有権者全体の知的底上げにつながり、それこそ長いトンネルの先に光が見えてくるでしょう。
池戸氏の主張に対する私の意見
人様の言動を評論しておきながら自分の意見を述べないのは「汚いやり方」と思いますので、池戸氏の意見に対し、私の意見を述べておきます。
1.政府支出の戦略性
「政府支出の積極化で日本の経済成長の停滞が打開できるはず」は一つの考え方として
否定できないと思いますが、池戸氏が言及しなかった「政府支出」の『戦略性』が非常に
重要なカギになると思います。積極的に支出すれば何でもOKではありません。
2.制御不能なインフレへの警戒
池戸氏の発言では政府支出を際限なく増やして良いかのようなニュアンスに聞こえまし
たが過剰な政府支出は確実にインフレに繋がります。インフレが制御不能にならないよう、
『最適な政府支出規模』となるよう、計画・実行すべきです。
3.デフレ基調からの脱却に向けての政府支出の積極化
最近、コロナ影響/ウクライナ戦争による供給不足を主な要因とする、見かけ上の
インフレ(スタグフレーション)が起きているせいか「デフレ」という言葉を
聞かなくなりました。番組でもほとんど触れられていませんでしたが、
日本経済の長期停滞の主要因は「デフレ基調」と理解しています。制御不能な
インフレに警戒しながら健全なインフレ率(物価上昇率)を誘導する手段として、
政府支出の積極化を図る、という考え方があっていいと思います。
4.政府支出伸び率と経済成長率の因果関係
WIKIPEDIAによると、
GDP = 家計による消費支出 + 企業による投資支出 + 政府支出
とあります。従って、「政府支出伸び率と経済成長率の因果関係がある」のは間違いありません。
但しこれは、「政府支出が消費・投資を含めて、経済全般の成長を牽引する」という
レベルの話ではありません。あくまで政府支出の『戦略性』次第と考えます。
ChatGPTの意見
最近の私のお気に入りの「chatGPT」氏にも意見を伺いました。
(私の質問)
一般的に政府支出の年次増加率とGDP成長率には強い相関が見られます。この強い相関が生ずるメカニズムについて仮説を立て、論じてください。
(ChaatGPTのコメント)
政府支出が増加することで、国民生活の向上や経済成長を促進するために、インフラ整備や教育や福祉などの公共サービスの拡充が行われることが一つの要因となります。また、景気後退時には、政府が出資を行って、経済を活性化するための財政支援を行うことができるため、GDP成長率と政府支出の増加率が正の相関を示すことが考えられます。