昨日のセルビア戦、負けましたね。
セットカウント、得点は下表の内容です。バレーボールファンの方なら第1セット、第3セットの「日本25-16セルビア」から「日本がセルビアを圧倒した」と読み取るかと思います。私も昨日昼間にこの結果を知って、そう思いました。バレーボールにおいて、「25-16」という点差は大きな力の差を意味します。にもかかわらず、日本は第2、第3、第5セットを奪われ、まさかの敗戦。奪われたセットで何が起きたのか?奪ったセットではそれがどうだったのか?
今回の試合はデータからは読み取りづらいと感じています。理由は簡単。現状ではセット毎のデータが得られず、奪ったセットと奪われたセットの合計(平均的)データでのデータ分析になるためです。
とは言え、分かることだけでも抽出すべくデータを見てゆきたいと思います。
例によって、バブルの重なりについては、凡例の部分をクリックすることで手前のバブルを一時的に消すことができ、裏に隠れたバブルを見ることができます。
日本・セルビアチームのパフォーマンスについて
まずは両チームのパフォーマンスを見ていきます。まずは得点力です。
日本が奪ったセットと奪われたセットでデータを分離すれば、顕著な差が出るはずですが、合計するため互いに中和し合い、両チーム間に顕著な差は見られません。
次に守備面ですが同様に大きな差は見られません。ただ、ディグは日本選手のほうがしっかり上げているようです。
次にブロックとサーブですが、セルビアが若干優勢です。
選手別パフォーマンス分析(日本チーム)
選手別で見てゆきます。
ここで奪ったセットと奪われたセットで何が起きたのか、起きなかったのかについても触れていきます。
奪われたセットで起きたことは『主力選手』の交代です。主力選手とは、攻撃の要となるOHそして、OHにトスを供給するセッター、また守備の要になる選手を指します。
下のチャートから、古賀(Nishida)キャプテンと井上選手が攻撃面で大きな存在であることがはっきりわかります。第5セット初めから井上選手が、また途中から古賀キャプテンがコートを出ています。(古賀キャプテンはかなり疲労がたまっているように見えました。)セルビアチームが如何に不調とは言え、この2名がコートにいない状況で勝利できるほど甘くはないでしょう。
次に守備面のチャートですが、リベロの西村選手とともに常に守備の要であり続ける林選手はこの日も安定ぶりを発揮していました。セッターの関選手もこの日、13本のディグを上げています。ところが、「奪われたセット」である第2、第3セット途中で林選手/関選手がそれぞれ、和田選手/柴田選手と交代します。いわゆる2枚替えです。
そもそもこの2枚替えの狙う効果は何なのでしょう?守備力は確実に落ちます。一方で攻撃力が増す?上のチャートを見る限り、その兆候も見られません。流れを変える?第2セットでは「日本17-18セルビア」第3セットでは「日本10-13セルビア」のタイミングでの2枚替えです。1点や3点ビハインドだからと言って「流れを変える」必要がありますか?せっかち過ぎません?
そもそも現在の女子日本代表OHは速いトスを打っています。実はこれがセッターにとってもアタッカーにとっても非常に難しい。セッターとアタッカーは多くの時間を割いて練習し、タイミングを合わせて来ているはずです。その難しい速いトスを上げるセッターを交代するリスクはとても大きいはずです。セッターAがBに交代し、またAに戻る、というだびにおそらくOHには大混乱が生じてるはずです。
私は「奪われたセット」で起きた2枚替えが致命的な負の作用をもたらしたのではないか?と疑っています。今後も2枚替えがあるとしたら、大きな関心を持って注視したいと思っています。
選手別パフォーマンス分析(セルビアチーム)
セルビア選手のパフォーマンスを見ていきますが、こちらについては話をシンプルにするため、得点力についての分析に留めます。但し、日本戦の前までの4試合の累計でもセルビアチーム選手のパフォーマンスを分析していますので、これも併せて紹介します。
下のチャートを見て明らかなように、この日は背番号9番が大当たりでした。
一方、下のチャートは日本戦の前の4試合合計についてセルビアチームのパフォーマンスを見たものです。総得点(バブルサイズ)とアタック数(縦軸)はセット当たりの数値を使用しています。
ここからわかることはセルビアチーム本来の得点源は13番の選手で、9番の選手は予想外の結果、なのかも知れないということです。ちなみに凡例の9番と22番をクリックしていただけますと13番の大きなバブルが見えてきます。
選手の疲労は大丈夫なのか?
セルビアチームの4試合合計チャートと同様に日本チームのセルビア戦の前の4試合について合計チャートを作っていますので紹介します。
下のチャートを見て、古賀キャプテン、井上選手、林選手の活躍ぶりが目立っています。特に古賀キャプテンのセット当たり打数は11本(井上選手:8本/set、林選手:7本/set)と多く、昨日の試合の第5セットの様子を見ると疲労の蓄積が懸念されます。
昨日の試合は、2枚替えという謎の戦術さえなければ3-0で勝てていたのでは?と疑ってしまいます。監督・コーチ陣には「多くの選手の可能性を模索したい」と言った思いがあるのかもしれませんが、選手の疲労と言う面にもケアしていただきたいものです。
いや、言い方がまどろっこしいかもしれません。サクッと勝てる試合はサクッと勝ちましょう!
優れた戦略・戦術は分かりやすい。ダメな戦略・戦術は?
私の仕事経験からつくづく感じていることは、
優れた戦略・戦術は分かりやすい!
ということです。逆に、
腹に落ちない「戦略・戦術」には間違いがある。
間違いがあるから理解できない、腹に落ちない。
と考えています。経験的に高い確度でこれは正しいです。そもそも、
腹に落ちない「戦略・戦術」をうまく実行できるわけがない!
ですよね(笑)。日本人には難しいもの、難解なものをありがたがる悪い癖があるような気がしています。
私も20代~30代のころは物事を「必死に難しく、複雑に」考えていました。それを20年以上年上の偉いさんに「野山君、それって要するに〇〇XX、こういうことだよね?」ってサクッとサマライズされてムカついたことが昨日のように思い出されます(笑)。
しかし、物事の本質って実は単純なんですよ。戦略や戦術を人に簡潔に説明できない時点で思考に重大な欠陥があることを疑うべきです。
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