来る11日のフランス戦に先立って、フランスチームの戦力を分析してみましょう。利用するデータは昨日7日に行われたフランスvsポーランド戦のモノを使用します。対戦結果は1:3でポーランドの勝利でした。
また、またまだまだ当分先になりますが、日本はポーランドとも対戦予定(7月9日)があります。ですので、フランスに加えて、ポーランドチームにもスポットライトを浴びせたいと考えております。とは言え、今週試合が控えているフランスチームが気になりますね。
フランスとポーランドチームについて
フランスチームとポーランドチームですが、いずれも世界トップ水準の強豪チームです。現時点の世界ランキング1位がポーランド、2位がフランスになります。
昨日の試合も白熱したものだったようで、下表のような状況でした。バレーボール経験者やバレーボールファンなら、第3セットの「33-35」という数字を見ただけで心臓が高鳴りますよね(笑)。この大接戦を制したポーランドが第4セットフランスを圧倒し、勝利を掴んだ、と言う結果です。
この第4セットに「フランスの弱点が透けて見える」と思うのは私だけでしょうか?
第1set | 第2set | 第3set | 第4set | |
フランス | 23 | 25 | 33 | 15 |
ポーランド | 25 | 18 | 35 | 25 |
フランス・ポーランドチーム戦力パフォーマンス
まずはこの2チームの戦力を比較してみましょう。まずは得点力です。
2チーム間には「顕著な違い」と言うほどのものは無い、と読めます。若干ポーランドがアタック効果率で上回っている状況です。
次に守備力です。
2チームの特性には大きな違いが見られます。レセプションでは圧倒的にポーランドが優位です。一方、フランスはレセプションは弱いものの、ディグは非常に高い水準にあるようです。とは言え、レセプションが乱れがちですと効果的な攻撃に繋がらないばかりか、セッターをはじめ選手がコートを走り回らければならくくなり、体力面で厳しくなるでしょう。第4セット目に15点しか取れなかったフランスチームには、少なからずの疲労があったのだろうと想定されます。
次にブロックとサーブを見ましょう。
横軸のサーブ効果率に関しては若干ポーランドが良い程度です。「若干」です。さきほどのレセプション効果率の大きな差異から連想し、ポーランドの非常にサーブが良かったのかと思いましたが、さほどでもありません。ちなみにサーブ効果率は「サーブ得点」「サーブエラー」「総サーブ数」できまりますが、レセプション効果率は「レセプション成功数」「レセプションエラー」「総レセプション数」で決まります。
下表が実際のデータになりますが、「サーブ得点」と「レセプションエラー」はちょうど裏返しの関係になりますが、「サーブ効果率」と「レセプション効果率」全体としては、負の相関は見られるでしょうけど、直接的な繋がり(裏返しの関係)はありません。
サーブ得点 | サーブエラー | 総サーブ数 | サーブ効果率 | |
フランス | 3 | 21 | 97 | -18.6 |
ポーランド | 8 | 19 | 102 | -10.8 |
レセプション成功数 | レセプションエラー | 総レセプション数 | レセプション効果率 | |
フランス | 22 | 8 | 83 | 16.9 |
ポーランド | 27 | 3 | 76 | 31.6 |
ブロックに関しては、フランスはブロックエラーが多いようです。
選手別パフォーマンス分析(フランスチーム)
次に上のフランスチーム戦力分析を掘り下げ、選手別に見ていきましょう。まずは得点能力です。
21番の選手が絶対的エースと言う感じですね。下の守備のチャートを見るとレセプションには参加していないようです。VNL公式webを見ますと、ポジションは「O」とありますので、典型的な攻撃専門のオポジットですね。
しかし、21番への依存度が高いところを見ますと、21番の体力面がチームとしての弱点になりかねません。この試合の第4セット、フランスは15点止まりとポーランドに圧倒されてしまっていますが、もしかするとこの弱点を露呈した結果なのかも知れません。日本としてはこの辺りが「つけ入る余地」なのかも知れませんね。
次に守備面ですが、理由があって縦軸をマイナス側まで広くとっています。その理由はフランスチーム側の事情ではなく、ポーランドチーム側の事情にありますので、のちほど説明します。
またバブルが重なり合って見ずらい状況ですので適宜バブルを消して見てください。例えば、水色のバブルでオレンジの大きなバブルが隠れてしまっていますが「凡例の水色の20番」をクリックしますと一時的に水色バブルを消すことができ、オレンジの大きなバブルが7番の選手のものと分かります。
フランスチームは全般にディグが非常にいいですね。一方、レセプションは決して良くは無いので、日本としては徹底的に厳しいサーブで攻めていきたいところです。
選手別パフォーマンス分析(ポーランドチーム)
次にポーランドチームを選手別に掘り下げていきましょう。まずは得点力面です。
フランスチームでは1人の絶対的エースの存在が際立っていましたが、ポーランドチームには23番(オポジット)を始めに、25番(OH)、20番(MB)、7番(MB)と10得点越えのアタッカー/ブロッカーがが揃っています。さすが世界ランキング第1位ですね。
次に守備面です。
チーム全体の分析で、「ポーランドはレセプションの安定性は高いが、ディグが弱い」と言う結果でしたが、下のチャートを一見すると、ディグも決して悪くないように見えます。特に、当初、縦軸:ディグ効果率を20%以上の範囲で表示するチャートにしていたため、現在は見えている23番(オポジット)の選手や2番(OH)の選手といったディグ効果率の低い(-75%、0%)選手が見えていなかったため、私自身計算の誤りを疑い、計算を確認したほどです。しかし計算に誤りはありませんでした。23番、2番の選手のほか、レセプション数+ディグ数が少ないため、チャートへのプロットを省略している選手にディグ効果率=100%という選手(12番)もおり、彼らがチーム全体のディグ効果率を押し下げていたことが分かりました。
以上です。日本代表チームとしてもこのような分析の元、あるいは、さらに詳細に、また過去に遡った分析を踏まえ、日曜日のフランス戦に備えているかと思います。なんとか、強豪フランスの弱点を突く巧みな試合運びで金星を挙げて欲しいものです。
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