[バレーボールデータ分析]VNL2023女子 日本vs米国[世界ランキング2位になぜ勝てた?素直に喜んでいい?]

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  「今大会絶不調のセルビアに負け、世界ランキングで格下のドイツにも負け、世界ランキング2位の米国に勝てるわけがない」ほとんどの人がそう思っていたのではないでしょうか?言うまでもありませんが、私はそう思っていました(笑)。

  しかし日本は勝ちました! 米国にとっては、なんと今大会初黒星です。このようなことが起きると、「米国チームは主力を休ませるために、控え選手中心で日本戦に臨んだのでは?」と疑問が湧いてきます。しかし、どうやらそうではないようです。素直に勝利を喜んで良さそうです。

  と言いますのは、対日本戦前までの6試合の米国各選手の得点貢献度や守備貢献度から「米国チームの主力」を炙り出すことができるわけですが、そこから推察して、日本戦のメンバーは主力であることが明らかなのです。また、日本戦後に米国は強豪ブラジル戦に臨み、3-0で圧勝しているのですが、この時の米国チームメンバーと比較しても決して見劣りしません。

  以下、日本が米国チームに勝利できた要因を分析してゆきます。

米国チーム戦力分析と日本戦メンバー・ブラジル戦メンバーについて

  下表は、日本戦前までの6試合での米国各選手の活躍ぶり、日本戦出場選手、そして日本戦直後にブラジル相手に3-0で圧勝した試合の出場選手をまとめた表です。

  左の2列に選手の背番号・選手名・ポジションを記載しています。次の2列には6/18の日本戦前の6試合での累計の「総得点」、「レセプション+ディグ成功数」をまとめています。各セルに横棒グラフを入れていますが、数値データを視覚化したもので、数値に比例した長さになっています。そして、続く「日本戦」列「ブラジル戦」列は、それぞれの試合に出場した選手を示しています。「〇」印が出場選手を示していますが、攻撃型の選手の場合、セルを水色で、守備型選手の場合、セルをオレンジ色にしています。黄色はセッターです。

  表を見ていただければ、日本戦出場メンバーもブラジル戦同様に一線級の選手であることがお分かりいただけると思います。

日本チーム・選手別パフォーマンス

  まずは日本のチームとしての得点力パフォーマンスです。なんと、意外なことにアタック効果率・アタック打数共に日本チームが勝っています。そして総得点数も日本82-79米国と勝っています。

  選手別にブレークダウンすると下記チャートのとおりです。

  何といっても和田選手ですね。32点はすさまじい数字です。アタック効果率48%も驚異的です。

  ちなみに1人で1試合に30点越えの得点を挙げるのはめったに見られるものではありません。私の記憶では2012年ロンドン五輪の日本vs中国戦の木村沙織・江畑幸子選手まで遡ります。この試合はバレーボールファンには忘れられない名勝負です。

  かといって、和田選手をニューヒロインに祭り上げるのは、せっかち過ぎます。とは言え、どこか飄々とした雰囲気に大物の予感を感じ取っているのは私だけではないでしょう。周りに左右されず、自分をしっかり持っている雰囲気があります。

  次に日本のチームとしての守備力パフォーマンスです。

  レセプション効果率で日本が米国を圧倒していますね。結果として、アタック打数も日本が上回っています。

  選手別にブレークダウンすると、やはり西村選手の存在感が大きい。バブルの重なりを凡例のクリックで解消すると、古賀選手・石川選手も大いに貢献していることも分かります。ディグではセッターの柴田選手も貢献してますね。

  ちなみに西村選手のレセプション効果率が古賀選手・石川選手に比べ低めなのは、おそらく守備範囲が広いことが影響しているためと思われます。

  先日の放送で実況のアナウンサー氏から「Vリーグでレセプション効果率最高記録を保持しているのが西村選手」との解説がありましたが、私は「率」に大きな意味はないのではないかと常々考えています。例えば、レセプション効果率については守備範囲が広ければ下がりますが、そのことはその選手のスキルが下がることを意味しません。また乱れたトスを打つことも求められるOHがMBよりアタック効果率が低いからと言って、OHの価値が低いわけでもありません。「率」へのこだわりは視野を狭くします。

日本チームのVNL2023における今後の展望

  残る4試合ですが、次のような日程になっています。

  世界ランキングとVNL2023のこれまでの戦績からして単純に考えますと、現在5勝3敗の日本は2勝~3勝加えて、7勝~8勝となりそうです。

  また下の表は、6/19時点のNVL順位表です。8位のイタリアまでは勝越しの成績ですが、セルビアとカナダは3勝5敗と言う成績です。この2国いずれかに逆転されない限り、決勝ラウンドに進めそうです。

  しかし、そもそも今回大会の目標は4強入りです。ここまでの明るい話題は米国戦勝利くらいです。この調子で4強なんて、とても無理です。残る4試合全て勝って弾みをつけない限り、4強入りは到底不可能でしょう。

  真鍋Japanが有言実行できるか、口先Japanに終わるのか、ここからが正念場です。

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