[バレーボールデータ分析]VNL2023女子 強豪トルコ戦力分析[6/28対戦に先立って]

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  男子はアルゼンチン戦勝ちましたね。戦前の戦力分析では想定していなかった宮浦選手が大活躍しました。海外各チームにとっても、我々日本のファンにとっても、もしかすると日本代表チームにとってもサプライズとなる新戦力です。是非ともこのまま定着し、石川キャプテン・高橋藍選手とともにチームを牽引する攻撃の柱として存在感を維持して欲しいものです。またやや調子が上がっていない西田の復調にも期待したいですね。

  女子では、米国戦サプライズ勝利をもたらした和田選手の活躍が期待されます。

  今週の最初の試合、早速日本女子代表にとって試練となるトルコ戦が明後日28日に行われます。おそらく米国戦同様、日本には『爆発力』が求められる試合となります。つまり和田選手の「本物」度が試される試合になろうかと思われます。

今週の4連戦とトルコ戦の位置づけ

  米国戦勝利についての記事の中で触れた今週4連戦についての表を再掲します。あくまで19日時点のものですが、現時点でも大きな変化はありません。下表はVNL2023女子の順位・勝敗実績表です。

  現状日本女子代表は7位、8位まで決勝ラウンドに進めること、9位以下が現状3勝しかできていないことから、日本の決勝ラウンド進出はほぼ間違いないでしょう。しかし、今回の日本女子の目標はベスト4入りです。7位に甘んじている現状は、計画に対して大きくビハインドしていると言えます。

  そこで残る4試合で弾みをつけるべく、下表の4試合をどう戦うかがカギになります。

  上表を眺めてみて、順当に行って4戦のうち、2~3勝と思われます。しかしまた順当に行くと最終順位は5~8位程度と思われます。残り4試合を全勝してこそ「ベスト4への挑戦権」が得られるものと考えて欲しいところです。残り試合全勝への最大の山場が28日のトルコ戦です。

トルコ戦力の対日本チーム比較分析

得点力について

  下は、これまで8試合のデータからのトルコチーム各選手の戦力を示すチャートです。まずは得点力。例によって、バブルの重なりは凡例をクリックして解消できますので、よろしくお願いいたします。

  同様に下がこれまで8試合の累計データから日本チーム各選手の得点力を示すチャートです。

  見た瞬間、「エ?」と驚きませんか?日本チームのバブルの並びが不自然ではないでしょうか?

  まず、トルコチームですが、打数の少ない傾向のMBを除き、OH(アウトサイドヒッター)O(オポジット)のバブルの並びが右上がり、つまり、アタック効果率(Attack Efficiency)が高い選手ほど打数が多くなっています。つまり得点確率の高い選手にトスを集め、チームとして効率的に得点を稼ぎだしているわけです。そうすることで、「より早く25点」に到達でき、つまり勝利することができるわけです。

  対して、日本チームですが、これまでの攻撃の主力である古賀キャプテン、井上選手、林選手のバブルの並びが右下がりです。こうすることに合理性は無いでしょう。井上選手、林選手により多くのトスを供給すべきです。

  おそらく林選手のアタック打数が少ないのは、林選手が「守備面でも主力になっているため、攻撃面の負担を抑えている」と言う理由かと思われます。しかしながら、林選手が和田選手に置き換わり、守備面が弱まっていても、米国戦をしっかり戦えた、という事実があります。この事実を踏まえ、新たなチーム編成が考えられるはずです。

  いや、考えないといけないでしょう。何故なら、上のチャートから明らかなように古賀キャプテンの負担(肉体的+精神的)が明らかに大きいからです。ケガなどが起きてからでは遅いですし、そもそも合理性を欠いたチーム運営では(選手の怪我リスクを抱えながら、)勝率が上がるわけもなく、何のメリットもありません。「そもそもデータ見てる?」「科学的にスポーツしてる?」と疑問を持ってしまいます。私の知る限り一流のスポーツ選手/チームは頭脳明晰です。アホだけど強い選手/チームなど見たことがありません。

  以上はチームとしての得点戦術面の話ですが、選手別スキルで見ますとトルコチームの4番のパフォーマンスが驚異的です。アタック効果率はMB並みの44%。レセプションにも入っているようですのでサーブで狙い、ブロックで徹底マークするなど特別な対策が不可欠と思います。日本チームがトルコチームの4番にどのような対策を打つのかもこの試合の見どころになるかと思います。

守備力について

  次にトルコチーム各選手の守備力を示すチャートです。

  比較のため日本チームの同様のチャートを掲載します。

  トルコチームは攻撃力に加え守備面でも安定していますね。と言いますか、安定したレセプションゆえの攻撃力と言う解釈もできます。

  どうでしょう?地力では完全に負けてますね。と言うことは、順当にいけば、間違いなく負けます。

  勝つためには和田選手の爆発力が不可欠と思われますが、トルコも「日本が米国に勝った事実」、そして「和田選手の存在」を知っています。米国戦までは和田選手は「秘密兵器」だったわけですが、トルコは和田選手を「科学している」はずです。

  一方の日本女子代表チームは上のチャートに見られるように、「非合理的・非科学的バレー」、「データ利用できていないバレー」をやらかしています。逆に言えば「そこが伸びしろ」なのかもしれません。選手の筋力やスキルは中期的(半年とか数年のタイムスパン)に強化されるもので、今日明日どうにかなるものではありません。しかし、戦術面ならやりようがありそうです。

  私は「戦術は監督・コーチがやるもの」と明確な分担をしているチームはダメチームだと思っています。「何をするにも全員参加」のスタイルが良いチームに繋がると思っています。特に「戦術」は選手全員が「納得・腹落ち」していなければ機能しません。

  「なんか知らんけど、言われるままにやってる」「自分は、本当はこうしたいんだけど、波風立てないように」「監督の言う通りでうまくいかないのは百も承知なんだけど。。」みたいなことになってないでしょうか?

  私は第1期眞鍋監督の時期から日本女子バレーを見てきましたが、「監督の言いなりバレー(速いトスへの拘り)」の時期と「監督に逆らってでも勝ちたい(効果的トスへの修正)」と選手が立ち上がった時期が、行ったり来たりしていたように見ていました。2010年、そして2012年が後者のパターンで日本女子が世界の強豪として躍動した、そんな印象です。

  とは言え、私は部外者ですので上記は推測に過ぎません。しかし、社会人経験として「『なんか知らんけど、言われるままにやって』上手くいった事は1度もない」と自信を持って言えます(笑)。

  28日まで決して長くありませんが、選手は勝ちたい気持ちに徹底的に拘り、決して「納得のいかないこと」を「やれと言われたから」やる、みたいな「社会人2年生未満のポンコツ」的なことにならないよう、戦術にも口出ししながら、しっかり取り組んでほしいです。28日まで時間の使い道が大きな分かれ目になるような気がします。

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