[バレーボールデータ分析][Women’s Olympic Qualifying Tournament(OQT)開幕][女子日本代表の見通し・見どころなど]

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  久々の投稿になります。もう1か月振りなんですね。

  実はVNL2023( Volleyball Nations League 2023)が終了して以来、AIとか機械学習を学習し、さっそくそれを使って観光系の口コミ分析をしています。数か月に1度のペースで旅行するのですが、行き先がワンパターンになりがちなので、全国観光地、ホテルの口コミを分析し、どの地域にどんな魅力があるのか探ろうというのが狙いです。まとまりましたらこのブログでも共有したいと思っています。

  さて、間もなくOQT(Olympic Qualifying Tournament:五輪予選大会)が開幕しますね。日本のメディアやバレーボール協会(JVA)では「FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023」と呼んでいますが、FIVBサイトによれば「Olympic Qualifying Tournament」(略称:OQT)が正しいようです。日本語ですと「FIVBパリ五輪予選2023」が妥当でしょう。「ワールドカップ」と言ってしまいますと、最終的に1位~3位チームに金・銀・銅メダルが授与されるイメージですが、今回、それはなく、単純に男女それぞれ6か国(チーム)にオリンピック出場権が与えられるところまでで終わりです。その意味でもOQT(パリ五輪予選)が正しく、「ワールドカップバレー」はミスリーディングです。

  ちなみに「ワールドカップ」と言う呼称の大会は2019年を最後に終了したようです。リンク先で「World Cup」を検索していただけますと2019年以降の予定がないことを確認できるかと思います。

パリ五輪出場への道のり

  OQTの話に入る前にパリ五輪出場への道のり、出場資格獲得についてまとめておきます。簡単に下表にまとめてみました。

  まずはパリ五輪出場国数ですが、男女各12国(チーム)です。うち、男女各1チームは開催国フランスと確定していますので、残る男女各11国枠の出場権を争います。その第1弾が今回のOQTで、男女各6国(チーム)が出場権を獲得します。

  仮に今回のOQTで出場資格を取得できなかった場合、来年6月時点の世界ランキングを基準に出場国が選抜されるとのことです。この時は男女各5国(チーム)が選抜されます。このための大会は特に予定されていないようで、世界ランキングを基準に事務的に決定されるようです。但し、「五輪出場が未決定の大陸を優先する」という但し書きがあります。恐らくこの枠で、アフリカ大陸から男女1か国出場権を獲得すると思われます。

  男女各12国出場で、日本は世界ランキング8位(女子)と5位(男子)。また東京五輪では「ROC(ロシアオリンピック委員会選手団)」という男女各1チームの枠がありましたが、これはパリ五輪には残らない。残るわけがない。そう考えると、仮に今回のOQTで出場権が取れなくとも、パリ五輪出場を逃すことはなさそうです。

  しかし、OQTでの戦いぶりではパリ五輪での活躍の期待度が全く変わるでしょう。

  女子代表がOQTでパリ五輪出場権を獲得すれば、最近の停滞感を一気に払しょくし、再び「輝くチーム」感を取り戻すでしょう。

  男子代表は既に大きな期待を実感しながら日々のトレーニングに取り組んでいると思われます。VNLで一躍注目を集め、パリ五輪メダリストの有力候補として見られています。彼らはここでトーンダウンするわけにはいきません。

女子大会の勢力図と見通し

  まずは16日、明日からの女子大会。世界の3会場にそれぞれ8チーム、計24チームが6つの出場枠を争います。日本は東京会場で下記8チームの総当たり戦に臨みます。上位2チームがパリ五輪出場権を獲得します。

  現時点(2023年9月14日時点)の世界ランキングも表に書き加えました。さらにVNL以前の時点(2023年5月26日時点)の世界ランキングも記載しました。VNLという長期にわたり、多くの試合が行われる大会だけにその前後で世界ランキングも大きく動いています。その動き「↗↗↗」等で表現しました。

  こうしてみると、トルコの大躍進が目を奪いますね。VNL前は僅かながら日本がトルコを上回っていました。しかしトルコは、今となっては遥かかなたの世界トップチームに躍り出てしまいました。

  ところで「ランキング」ですが、国際試合が行われるたびに各チームにポイントが付与されたり、マイナスされたりし、その累計ポイントの大小でランキングが決まっています。つまりランキングが1位違ってるだけでも大きなポイント差の場合もありますし、まさに僅差の場合もあります。その意味でより精密にランキングを見ようとすると、ポイントの比較をすることになります。それをやってみたのが、下のチャートになります。各国、2023年9月14日時点のポイントです。

  出典:https://en.volleyballworld.com/volleyball/world-ranking/women

  こうしてみるとトルコの「ダントツ1位」ぶりが見えてきます。トルコに水を開けられ、米国~中国の5チームがが僅差で連なり、少し下がったところにポーランドが居て、さらに一段低いところに日本~ドミニカの3チームが居る、と言う構造です。

  こうしてみると今回のOQTでのパリ五輪の出場権獲得は中々簡単ではなさそうです。逆にこの大会で五輪出場権が獲得できれば、一気に低迷ムードを払しょく、五輪メダルも視野に入ってくることでしょう。

OQT大会の見どころ・想定されるシナリオ

  今回のOQTのスケジュール表を下のようにまとめてみました。上の表で記載したランキング情報も改めて含めてみました。

  こうしてみると試合日程が世界ランキングの並びどうりになっていることが分かります。とはいえ、試合日程決定のタイミングはVNL前だったわけで、VNL前(下表の「2023年5月26日時点」)の世界ランキングの並びになります。

  当初の日本の狙いは「格下のペルー~トルコに勝利し、2位以上を確定したうえでブラジル戦を迎える」というシナリオだったと思われます。

  しかし、今となっては一番の難敵がトルコチームになりました。ランキングどうりでは日本は3位で、五輪出場権獲得はできません。従って、番狂わせが必須です。新たなシナリオは、

  (1) 格下ペルー~ベルギー戦で確実に勝利・ポイントを積上げる
  (2) 並行して、監督・スタッフがトルコ・ブラジル各チームの分析を通し、
    強み・弱みを分析、戦術を検討
  (3) トルコ戦・ブラジル戦いずれか、または両チームを上回り、パリ五輪出場権を獲得

と言う感じですね。簡単ではないことは、言うまでもありません。

勝利へのキーマンは監督・スタッフ

  上記の通り、日本女子代表にとってOQTの成功への道は困難を極めます。トルコ・ブラジル戦が最大の山場ですがそこに至る過程でチームの士気を高め、選手らを「ノセる」必要があります。これを実現するにはリーダーシップが必要です。

  ノリまくってる男子チームには複数のリーダーがいます。

  1人目は言うまでもなく石川キャプテン。印象的なのは、試合前に他の選手一人一人と目を合わせ、ハグを交わし、一人一人の存在を大切に思い、活躍を期待していることを非言語で伝えている点です。日本の組織では中々見ない光景ですが、チームに心地よい緊張感をもたらしているように見えます。リベロの山本選手もチームを過度の緊張から遠ざけるナイスなリーダーシップを発揮しています。VNLでは本調子が発揮できなかった西田選手に代わって、宮浦選手は猛獣のように暴れまわり、チームの闘争心に火を付けていました。OQTでは西田選手、宮浦選手がツイン猛獣となって相手チームをビビらせてくれるでしょう。

  日本男子代表は間違いなく『一流のチーム』への階段を登っています。『一流のチーム』とは『勝利への欲望を選手一人一人が露わにし、チーム全体で共有している』ことと思います。そのようなチームでは選手一人一人がチームを苦境から助け出すため、自ら率先して自分に発揮できるリーダーシップを発揮します。

  女子日本代表では『勝利への欲望』を選手が露わにしている感じが今のところ見られません。ブロックされたアタッカーが他の選手に申し訳なさそうな表情を浮かべる印象があります。どこか気弱で自信なさげに見えます。男子代表チームに比べて、自己肯定感が低い印象です。

  それがどこから来るのか?あくまで外野から見た推測ですが、女子代表に『選手一人一人の存在を大切に思い、活躍を期待している』ことをチーム内に発信する存在が不在なこと。言い換えると女子代表に男子の石川キャプテンに相当する存在がいないことに起因するように思います。

  『選手一人一人の存在を大切に思い、活躍を期待している』どころか、監督は試合途中に頻繁に選手を交代します。これが選手らの自己肯定感を著しく傷つけているように思えます。そんなことを過去記事でも書かせていただきました

  監督・スタッフはこれを転換し、『選手一人一人の存在を大切に思い、活躍を期待している』ことをチーム内に発信する存在への自己変革を起こし、OQT期間中、実践して欲しいと思います。そうすることで、選手らの積極性を引き出し、自己肯定感・責任感を高め、「新しいバレーのリーダーズ!」を生み出し、パリ五輪までに男子代表並みの『一流のチーム』を創出して欲しいと思っています。

  そのための第一歩がOQTです。監督・スタッフが自己変革を起こさなければ、何も変わらないと思っています。自己変革と言うと大げさですが、単純に下記の2項を実行すべきです。

  (1) コートに送り出した選手を尊重・信頼し、意味不明な選手交代はしない
  (2) 個々の選手の現状を肯定し、否定しない
    (OQT期間中に解決できないことは口に出さない。
           「OQT期間中にできる」ことに集中する)

トルコチームは何故、急に強くなったのか?

  ところでVNL前世界ランキング7位と日本より格下だったトルコが、何故いきなり世界のトップに躍り出たのでしょう?

  追って、VNLデータを再分析しようと思っていますが、過去記事にトルコの戦力を分析したものがあります。そこで掲載したチャートを再掲します。

  4番のオポジットの選手が凄いですよね。彼女の名はメリッサ・バルガス、23歳。彼女はキューバに生まれ、かつてはキューバのナショナルチームメンバーでした。13歳でナショナルチーム入りし、一躍注目を集める活躍を見せたようです。そしてチェコ、スイス、トルコ、中国のクラブチームに所属、2021年にトルコ国籍を取得、2023年からトルコのナショナルチームメンバーとなり、VNL2023が彼女のトルコ・ナショナルチームとしてのデビュー大会だったようです。ちなみに国籍取得からナショナルチーム入りまで2年のギャップがありますが、そのようなルールがあるようです。(出典:

  トルコチームの世界ランキング7位⇒1位の大躍進にメリッサ・バルガス選手が大きく貢献したのは明らかです。NVL2023でトルコチームは優勝していますが、決勝戦となった中国戦の映像を下に貼っておきます。この試合、3-1でトルコの勝利でしたが、メリッサ・バルガス選手は26得点をあげる大活躍でした。

  ところで日本女子代表はVNL2023において、トルコチームに3-2で勝利しています。しかし、その試合ではメリッサ・バルガス選手が不在だったため、私はビッグニュースとは考えていませんでした。メリッサ・バルガス選手が不在ならば、トルコチームは特別な存在ではないと考えていたからです。

  しかし、日本戦敗戦の2日後、メリッサ・バルガス選手を欠いたトルコチームは強豪ブラジルを3-0で破っています。メリッサ・バルガス選手の存在は、その場にいない状況においても、トルコチームに大きな影響を与えたようです。メリッサ・バルガス選手の参加をきっかけにトルコチームに「新しいバレーのリーダーズ!」が複数現れたものと推測します。

  さて、上でさらっと触れましたが、「トルコチームは、メリッサ・バルガス選手を欠いた状況であっても、ブラジルを圧倒する」のです。

  女子日本代表は、おそらく最終日、2枚目の五輪切符をかけて、ブラジルと死闘することになりそうですね。

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