余裕の勝利と思われていたフィンランド戦、エジプト戦ですがともに大苦戦。第2戦となるエジプト戦に関しては、黒星を喫するというまさかの展開。下表が2試合の得点表になります。例によって公式サイトが出典元です。
2戦とも、日本は第1、第2セットで対戦相手を圧倒しながら、第3セット以降接戦に持ち込まれる展開でした。従ってこれらの試合のデータ分析に当たっては、第1、2セットまでと、第3セット以降を分けて分析すべきですが、それをするシステムができていないため、今回は手作業によるデータ取得を交えた分析となります。
フィンランド戦は割愛させていただき、エジプト戦の分析のみとさせていただきます。
両チームのパフォーマンス比較分析
まずはチームとしての総力の比較です。最初は得点力です。
アタック効果率(Attack Efficiency)、総得点ともに日本が大きく上回っています。これは第1、2セットで日本がエジプトを圧倒したためです。
ご存じの通り、第3セット以降からは大接戦でしたが、試合を通してのデータがもととなるチャートでは見えてきません。「地力は日本が上」ということが見えてくるだけです。
次に守備ですが、ここでもレセプション効果率(Reception Efficiency)、ディグ効果率(Dig Efficiency)ともに日本の地力が勝っています。
次にサーブとブロックです。
サーブ(Serve Efficiency)で日本が上回っていますね。
以上、試合通算のデータからは「日本の地力がエジプトを上回っている」ことが確認できました。「地力で上回っている」とは「勝利する確率」が対戦相手よりも高いことを意味します。しかし、比較的発生確率の低い出来事が「絶対に起きない」わけではありません。降水確率が20%でも雨が降ることはありますし、雨が降った事実と「降水確率20%」は相反しません。
選手別のパフォーマンス分析
得点力
上に日本チーム、下にエジプトチーム各選手の得点力チャートを掲載します。
まずは日本チーム。下のチャート通り、いつもの日本チーム各選手のパフォーマンスから乖離した内容ではなかったかと思われます。例によって、バブルの重なりは凡例をクリックして解消できますので、よろしくお願いいたします。
次にエジプトチームのチャートです。10番のMBが目立ちますが、チーム全体としては、繰り返しになりますが、日本が上回っています。
守備力
上に日本チーム、下にエジプトチーム各選手の守備力チャートを掲載します。
まずは日本チーム。レセプション効果率を見ますと、リベロの山本選手がまだ乗り切れていなかな、と言う気もしますが、今後に期待しましょう。リベロは守備範囲が広いため、レセプション効果『率』だけみると厳しい評価になりがちとは思っています。ディグ含めて「上げた数(バブルサイズ)」が『率』とともに低いのであれば黄色信号かと思いますが。
次にエジプトチーム。
以上、試合を通算してのデータ分析です。これだけ見てもなぜ負けたのかよくわかりませんね。誰かが足を引っ張ったということでは無いようです。
地力で勝る日本代表がなぜ負けたのか?
地力で勝る日本代表がなぜ負けたのか?最初に言っておきますが、これはよく分かりません。フィンランド戦を含め、得点表を再掲します。
2戦とも第1、2セットを比較的簡単に奪っています。またこの両チームともに日本代表からすればランキングも大きく離れた「格下」です。そこから推測するに「油断した」ということかと思われます。試合開始までプレッシャーと緊張感で研ぎ澄まされた感覚で2セットを戦い、いとも簡単にセットをとってしまったことが災いし、緊張の糸が切れてしまった、といったところでしょうか?
チームとしてのアタック効果率セット別推移
手作業での集計のため、正確性に絶対の自信があるわけではありませんが、エジプト戦の第1セットから第5セットまでのアタック効果率(チーム集計)の推移チャートを下に掲載します。
特に第2セット目は驚異の85%。これではついうっかり「自分たちの力を過信」してしまいがちですね。言うまでもありませんが、試合が終わるまでは、絶対に気を抜いてはいけません。
もしかするとデータ分析されてる?強豪に変身したエジプトチーム
私がこのブログでやっているのは、あくまで試合後に試合内容を分析するためのデータ分析です。一方、バレーボールプロチーム等の世界では、試合中に専用のソフトウエアツールにデータアナリスト等がデータを入力し、リアルタイムにデータ分析を行い、例えば相手アタッカーの傾向に応じ、ブロッカーやディガーの配置変更する、といったことが行われます。
今回のケースでもフィンランド・エジプトチームは第1、2セットまでに取得したデータに基づき、第3セット以降に対策を打ってきたのでは?とも考えられます。
上記が背景にあるのか確認することはできませんが、誰の目にも第3セット以降のエジプトは突如強豪チームに豹変していました。パワーもあればテクニックもある、粘り強い守備力を持つ世界トップ級のチームになっていました。アタッカーは力任せに強打するだけではなく、ブロックアウトを狙ったり、指先狙いも織り交ぜていました。
強豪チームとの戦い方ができていたか?
フェイントやプッシュ、軟打を織り交ぜて相手を撹乱するのが日本チームアタッカー陣の強みのはずです。それができていたかというと?驚くほど強打一辺倒になっていたように思います。
「日本の強打をエジプト選手がドシャット⇒エジプトチーム大盛り上がり」「ますます選手がゾーンに入る」という展開に陥ってしまいました。
日本のアタッカー陣は普通は強打一辺倒にはならないはずです。VNLの時は非常に多彩な攻撃を展開していました。相手が突如、強豪チームに豹変した事実を頭で消化しきれないまま、「力でねじ伏せられる」と思い込んでしまったのでしょうか?
軌跡を起こせ!
選手同様、多くのファンが大きな衝撃を受けたと思います。私も大変ショックです。
しかし、ここから大逆転したらどうでしょう?まだ「1敗」です。自力でアメリカをはじめとするライバルたちを「1敗」に追い込んで1位通過を狙いましょう!
バドミントンダブルス・リオ五輪金メダリストの「タカマツ」ペアが五輪決勝戦、「もう、これまでか。」という崖っぷちまで追い込まれた時の心境を『ここからひっくり返したらカッコいい!』と前向きに捉えたそうです(笑)。
また、女子バレーを知る方なら女子のドミニカ代表は馴染みのあるチームです。日本との対戦は数多く、決して弱いチームではないのですが、何故かほとんど日本に勝てていないチームです。
ところがそのチームがPool-A女子大会(中国会場)でOQTをトップ通過しています。しかもドミニカにとって格下のチェコに初戦で敗れてからの大逆転。あの強い中国にもセルビアにも勝利してのトップ通過です。
ここからの大逆転を!やればできる!
自分たちを信じてがんばれニッポン!